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人は、自分に関心がある。ちょっと言いすぎかな。人は、自分の関心事に関心がある(自明)。だから人は、リアルタイムに自分の関心事が流れているメディアに向かう。当然だ。スマートフォン+インターネットの組み合わせの話をしている。電車に乗る。周りを見回す。みんなスマートフォンを見ている。

紙の本は終わりだという人がいる。紙の本はまだまだ続くという人もいる。結城は両方まちがいだと思っている。人は、自分に関心がある。少なくとも自分の関心事に関心がある。紙の本に自分の関心事が書かれており、それが手に入るならそれを読むだろう。でもそれは、紙の本だから読んでいるのではない。

紙の本だから読んでるのではなく、関心事が書かれているから読んでるのだ。そこをまちがってはいけないと思う。人は、自分が読みたい内容を、読みたい形式で、読みたいタイミングで読みたいと思う。その欲求が満たせないならば、いくつか妥協するかもしれない。内容か、形式か、タイミングのどれかを。

結城は出版社から「結城さんの本を電子書籍化しましょうよ」と言われる。結城はほぼ二つ返事で「もちろんです」と答える。電子書籍化大賛成である。なぜなら、読者が選べる選択肢を増やせるから。

バッグを重くしたくない。だからタブレットで『暗号技術入門』を読みたいというインフラガールがいる。今日はドバイで開発し明日はモンゴルで会議だけど、『数学ガール』は読みたいというグローバルボーイがいる。紙の本しか選択肢がなければ彼女も彼も困るだろう。だから、電子書籍だ。

結城は本を作る側だから、読者に強い関心がある。読者が「おっ、おもしれーな、これ」というコンテンツを作るのは当然のこと。でもそれだけじゃない。読者に選択肢をできるだけ増やすことも大事だ。一つは電子書籍化である。出版社の力量は電子書籍化へのスピードで測られる。

今月末刊行の『数学ガールの秘密ノート/積分を見つめて』はSBクリエイティブから出版される。編集部からは「電子書籍は最速で紙の本と同日です」という連絡をいただきました。いわゆるサイマルですね。これはすごいことだと思います。少なくとも数日遅れで大手さんからは配信になります。

結城はこれを「すごい」「ありがたい」と思います。読者さんにしてみれば「自分は紙で買う」「自分は電子書籍だな」という思いがあるわけじゃないですか。ほぼタイムラグなしで紙も電子も出るならば、読者さん側に選択権がわたる。「電子で読みたいのに、まだ出ないの?」という不満を減らせる。

結城は《読者のことを考える》が大事であると思っています。でも、紙にするか電子にするかは出版社の尽力抜きには語れません。電子化は早いほうがいいに決まっています。ですから、電子化のスピードが早い出版社から本を出したいと思いますね。

(念のために書いておきますが、実際にはもっと複雑な要因がたくさんあります。この連ツイはかなり話を単純化して書いています)

驚くべきことに、世の中には自著の電子書籍化に反対する作家もいると聞きます。もちろんそれは著作権者の自由であり守られるべきことではありますが、率直にいって結城には不可解です。非難・批判しているわけではありません。どうしてそういう判断を下したのか……それはまさに不可解です。

想像できるのは、電子書籍というものへの無理解。あるいは不信。それによって、自分の「作品」(もしくは玉稿?)をそのメディアに流すことに耐えられないと思う人がいるというのは、まあ、理解できなくはないです。でも、読者が読みたがっているなら、読者をおいてけぼりにした判断と思いますけれど。

結城は、読者さんを信頼しています。そして自分の作品も信頼しています。ですから、読者さんが結城の本をどこで読もうが気にしません。図書館?Welcome!  電子書籍?もちろんOK! 中古書店で買った?安くていいよね! 友達から借りた?いい友達じゃん! てな具合です。

どんな経路でも(違法な経路はちょっとアレですが)結城の本に出会い、結城の本を読み、楽しみ、喜んでくださるなら、大歓迎! そして「結城浩の本って、なかなかおもしろいじゃん!」と思ってくださるなら最高。信頼できない情報過多なこの時代に「これ、いいかも」と思ってもらえるのはすごいこと。

結城は読者を信頼しています。読者は馬鹿じゃないし、違法なことを嬉々としてやる人もいない。良いものを良いと思い、適切な対価はどこかできちんと払うと思っています。ですから、選択肢が多いことは大事。ともかく結城の本に触れていただくのは大事。そのように思っています。

結城は、自信を持って自分の作品を世に出しています。ですから、多くの人が自分の読んだ「数学ガール」を他の人に勧めたくなるのもよくわかります。だっていい本だもの。そして、紹介するのに恥ずかしくない本だもの。安心して生徒に、先生に、友人に、親に、子供に、上司に、部下に紹介してください!

2017-06-24 (Sat) 15:44:08